「とても順調に成長しています」と言う樋渡社長の声が明るい。離乳を無事に終え、そして現在は夜間放牧の日々。同牧場の当歳馬たちは、秋が深まり、冬の訪れを感じさせる頃になっても、長時間放牧で心身を鍛えられている。一部の大手牧場では通年の夜間放牧を行っているようだが、個人牧場としては勇気ある試みだ。「やはり夜間放牧は馬を丈夫にしてくれます。風邪もひかなくなりましたし、脚元も鍛えられるようです」と、この当歳世代から夜間放牧期間の延長を決めたという。実際、本馬もそうした成果が馬体に表れてきたのか、しっかりした造りに成長している。「負けない馬をつくるために、出来ることはギリギリまでやってみようと思っています」という意欲が実を結びつつあるようだ。そんな同馬を前に「決して大きくはありませんが、牝馬の中ではナンバーワンの存在です。精神的にも自立しており、頼もしいです」と目を細めている。放牧地では馬群から離れて1頭だけでいることが多い同馬だが、群れが走り出すといつの間にか先頭付近で馬群を引っ張っているシーンを多く見かける。天賦の才といえるスピードがあるのだろう。「兄のヒワノスーパーは追い込み馬でしたが、母のスーパーラヴァーや姉のサマーコードは先行力のある馬でした。ある程度は前で勝負するタイプになるのでは」と、成長後の本馬に思いを馳せる。「この馬で会員の方々と一緒に大きな夢を見たい」と張り切っているのだ。